「秋」2021/09/24

日記

秋が来た。
虫達の声を聞くと、そう気付く。
鈴虫やコオロギ、草雲雀に松虫……“秋を生きる虫”の代表のようにして名を轟かせているけれど、実際のところ声を聞いても…誰の声なのか分からない。
だが、どの虫の声かなんて事は…まぁ別に分からなくたって良い。秋を感じて…少し得をした気分になれたのなら、それで良いのだ。

やるべき作業を終わらせ、就寝しようと部屋を移動した時に聞こえてきた虫の声。枕草子に載っていても良いぐらいの……なんというか、そう『風流』を感じたのだ。
既に家族たちは夢の世界へと旅立っている。そんな今…虫の声に聞き入っているのは自分だけ……。特別感――――それは…やはり“特別”なだけあって、ある種の優越感に浸らせてくれる。

窓の前に立ち、秋の音を愉しむ。なんと美しい事だろう。閉めておいたカーテンの隙間から入ってくる、ほんの少しの月明かりが余りに綺麗だったものだから…カーテンを少し開け、外を覗いてみたいという衝動が生まれてしまった。
いつもの私なら、暗闇の怖さに負けて…カーテンを開けないという選択をすると思うのだが、今日の私は違った。
虫達の声には本当に、心に安らぎを与えてくれる効果があるんだと思う。なぜだか、安心してカーテンを開けられた。
カーテンを開けると、そこには日中見ていたものとは全く違う景色があった。
月明かりに照らされ、きらきらと輝く草木たち。
物凄く綺麗だ。

こんなに綺麗な景色を拝めるとは……。
一日の疲れが吹き飛ぶ。

なんて素敵な夜だろう。
余韻を残しつつ布団へと潜った。

あぁ、こんなに素敵な日……。
明日もきっと素敵な日になる。

私は、まだ見ぬ明日へと思いを馳せて……ゆっくりと目を閉じた。

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